鳥取・島根を拠点に、環境地質・測量補償・設計・新エネルギー・介護事業を展開。高度な技術で未来を創造します。

社長のちょっと聞いてごしない!
記事一覧
NO.23
損得の勘定
2011年10月
代表取締役社長 大野木 昭夫
 今月は、条件優先ではなく私たちへの信頼と自らの気概でビジネスチャンスをつかみ、"双方良し"の結果となったビジネスについて書いてみたいと思います。
 
 平成になって間もない年、行政の土木担当者が、私の前職である建設会社を尋ねて来られました。話は、それまで行政が直営の作業員を雇用してやっていた、道路、水路の補修や街路樹の選定、草刈、どぶ掃除等々の維持工事を引き受けてもらえないかとの相談でした。
 昭和から平成の時代になってしばらくも、建設業は右肩上がりの公共投資で仕事はたくさんありましたので、手間のかかる、そしてやり方も決まっていない業務に手を上げる業者は誰もいませんでした。それどころか、やろうにもそれまで補修や掃除といった煩雑な仕事をなりあいとした施工業者もいません。
 私は「損得で見れば今は儲からないかもしれない、しかし今後も絶対必要とされる仕事だからいまから先鞭をつけるべきだ」と、既存の仕事をしてくれる施工業者へ説明をしてまわりました。しかし「そんな小さな補修ばかりの仕事や、住環境を維持する仕事はしたことがない」「小さな仕事の積み重ねでは、絶対儲からない」と断られ続けました。
 なかなか業者は決まらない中、旧知の社長に懇々と説明し、やっと承諾してもらいました。それが、維持工事へと進出する第一歩でした。
 その後、国も県も、道路の補修、除雪、植栽等々の直営でしていた業務が、民間委託へとなっていきました。あの時仕事を受けてくれた社長は、倒産後の会社再生中だったのですが、「借金を完済し、今、会社が元気でいるのは、あの決断のおかげだ」と語っています。

 京セラ稲盛会長は、「ビジネスの判断基準は、人間として正しい事を考える」とおっしゃっています。昨年の2月、JALの再生に乗り出したとき、JALのアライアンス(航空連合:企業間で連合して相互乗り入れ等の旅客の利便性を図る)が、企業再生と絡んだ大きな課題として浮上しました。15年間継続していたアメリカン航空に対抗して、デルタ航空が再生のために断然有利な出資提案をしてきたからです。政府内、JAL社内とも条件的にはデルタ航空が優勢でした。
 出資条件の損得で選ぶか15年間の長い付き合いを大切にするか、稲盛会長は役員に「人間として正しい事を考える」ことを提言し、その答えを役員に託しました。この結果は、アメリカン航空と共同事業を再開し、相手に大きな感動を与えより強い絆を作り出すことになり、後のJAL再生に大きく貢献したのです。アメリカン航空のアッピ会長は、JALの理念である「JALフィロソフィー」に深く感動し学んだと後述されています。

 ビジネスの原理原則には、人種の壁などは存在しないと言えます。そして、ビジネスでの判断には、損得よりも大切な原理原則があることを立証しています。。
このページのトップへ